島原半島・北有馬町には、島原半島に現存する32基のアーチ式石橋のうち、実に12基が集中する。
その中でも、江戸の石工技術を超える「自然石アーチ」の“技術の奇跡”と呼ぶべき存在が 長崎県指定有形文化財「面無橋(おもなしばし)」 だ。
アーチ式石橋は、本来「切石(きりいし)を隙間なく緻密に組む」ことが基本であり、車両の振動や地震に耐えられるよう、石をぴたりと密着させる必要があるためだ。
そのため、形が不揃いで隙間が生じやすい自然石をアーチ部分に使うことは極めて珍しく、熊本の名石工・岩永三五郎が築いた名橋群でも、アーチは切石で締め、自然石は補修の容易な壁面にのみ使う工法が採用されていた。
ところが、面無橋はアーチ部分を“自然石だけで”構築している。にもかかわらず、130年以上も崩れることなく現存。これは土木技術史的にも極めて異例であり、日本国内では唯一無二の存在もいえる。
洪水対策も江戸の知恵で、面無橋が今も美しい姿を保つ理由のひとつが、大雨対策として施された工夫として、橋の直下の川床を約60cm掘り下げ、水の流速を速める「堰落とし(せきおとし)」を構築し、増水時でも橋脚に水圧がかかりにくく、洪水による流失を防いできた。
〚国内で最後の“自然石アーチ橋”〛
かつて長崎市内にも自然石を使ったアーチ式石橋が4基存在した。
しかし昭和57年「長崎大水害」で全て流失。
その結果――
面無橋は日本で唯一現存する「自然石アーチ式石橋」となった。
技術的にも歴史的にも稀有な遺構として、今後の保存が求められている。
〚面無橋 概要〛
所在地:長崎県南島原市北有馬町今福名
駐車場 :有
長さ:12.0 m
径間:4.7 m
橋幅:3.4 m
発行:長崎通信社
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