長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)は2026年3月5日、アメリカ合衆国およびイスラエルとイラン間での武力攻撃に関し、双方に対して即時停止を求める見解を発表した。
RECNAは、アメリカ・イスラエルによる武力行使は核拡散防止を目的とするものとされるが、イラン指導部への攻撃や政権転覆を狙う行為は国際法上の正当性を欠き、民間人への被害を拡大させていると指摘した。さらに、核超大国と核保有国による攻撃は、むしろ核保有への不安を助長し、既存核保有国による核抑止依存の強化を招く危険性があるとしている。実際、フランスは3月2日、保有核弾頭の増加を宣言している。
RECNAはまた、2023年のG7広島サミットで採択された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を引用し、ウクライナ情勢を含む核兵器使用の威嚇は決して許されないと指摘。イラン周辺での戦闘拡大においても同様の立場を求めた。さらに、日本被団協へのノーベル平和賞授与を通じて国際社会が重視した「核のタブー」を堅持する重要性を強調し、核保有国に対して規範の徹底を求めた。
RECNAは、2026年4月末にニューヨークの国連本部で開催予定の核不拡散条約(NPT)運用検討会議についても触れ、戦闘の激化が対話の場を「対決の場」に変えかねない危険性を指摘。双方の武力攻撃を早急に停止し、対話による解決策を模索することが、戦禍による犠牲者の拡大防止および国際的な核軍縮・不拡散の推進につながると訴えた。
RECNAは最後に、被爆地・長崎からの「長崎を最後の被爆地に」というメッセージは理想論ではなく、現実の危険に対する強い警鐘であることを強調した。
〚アメリカ・イスラエルとイラン双方の武力攻撃の停止:長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)見解の全文〛
RECNAは、アメリカ・イスラエルとイラン双方の武力攻撃の早期停止を求める。
アメリカ・イスラエルによる武力行使は核拡散防止が主たる目的とされている。しかし、核拡散防止を名目に、ハメネイ師を含む指導部を標的とし、イランの政権転覆を諮る武力行使は、国際法上の妥当性が問われているばかりでなく、戦禍の拡大を招き、多くの民間人の犠牲者を出していることが伝えられている。さらに、核超大国アメリカと、核保有国とみなされるイスラエルによる武力行使は、核拡散防止どころか、多くの国に「核を保有していなければ攻撃される」との猜疑心を強める危険さえある。また、既存の核保有国が核抑止依存を一段と強めるきっかけともなることも危惧され、現実にフランスは3月2日、保有核弾頭の増加を宣言した。
2023年5月、G7広島サミットにおいて採択された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」において、参加各国の首脳は「ウクライナ侵略の文脈における、ロシアによる核兵器の使用の威嚇、ましてやロシアによる核兵器のいかなる使用も許されないとの我々の立場を改めて表明」すると宣言した。広域化するイランとその周辺での戦闘においても今後、同様に核兵器による威嚇や、ましてやその使用は許されない。
今この瞬間の核リスクの高まりが感じられないとしても、慢心は禁物である。2024年の日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授与でノーベル委員会が重視した「核のタブー」は今後も堅持されなければならず、核を持つ国はすべて、その規範を徹底して守るべきである。これは、国際社会が決して譲ってはならない人道主義の基本であり、被爆地の核兵器廃絶研究センターとして強くこの点を関係国に求めるものである。
2026年4月末からは核不拡散条約(NPT)の運用検討会議がニューヨークの国連本部で開催される。たとえ困難な作業であっても、核軍縮・核不拡散に関わる問題について「対話」で改善・解決への突破口を見出そうとする大切な国際会議である。このまま攻撃が激化し戦線が拡大していけば、この会議が「対話」どころか、「対決」の場に転じかねない。
戦禍による犠牲者を増やさないためにも、そしてNPT運用検討会議を、事態を好転させるきっかけとするためにも、イランへの武力行使に端を発した双方による武力攻撃を一刻も早く停止し、「対話」による打開策を模索すべきである。
「長崎を最後の被爆地に」とのメッセージは理想論ではなく、今そこにある危険な事態への真摯で、そして強い警鐘である。
以上
発行元:長崎通信社
提供元:長崎大学核兵器廃絶研究センター
