
2月10日は「海の安全祈念日」。この記念日は、全国水産高校長協会が2003年(平成15年)に制定したものだ。
発端となったのは、2001年(平成13年)2月10日午前8時45分(日本時間)に発生した事故である。愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が、アメリカ・ハワイ州オアフ島沖で、浮上してきたアメリカ海軍の原子力潜水艦「グリーンビル」と衝突し、沈没した。
この事故により、乗務員35人のうち、えひめ丸に取り残された教員5人と生徒4人、合わせて9人が死亡した。また、救出された乗組員のうち9人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されるなど、事故は生存者にも深い心の傷を残した。
事故後、海上ではえひめ丸の捜索が続けられ、多くの人々が海の安全と尊い命について改めて向き合う契機となった。この悲劇を風化させず、実習航海の安全を祈念するため、毎年2月10日には全国の水産系高校で黙祷が捧げられている。
さらに、2006年(平成18年)2月10日からは、和歌山県の高野山高等学校宗教科の生徒らにより、高野山奥之院燈籠堂において「えひめ丸慰霊法会」が毎年厳修されている。宗教的儀礼を通じて犠牲者を悼み、海と命の尊さを次世代へ伝える取り組みが続けられている。
海の安全祈念日は、単なる記念日ではなく、海に関わるすべての人々が命の重みと安全への責任を再確認する日である。えひめ丸事故の記憶を胸に刻み、二度と同様の悲劇を繰り返さないという誓いを新たにする日であると言える。
発行元:長崎通信社
