対馬市は現在、SDGs(持続可能な開発目標)の推進体制を体系的かつ重層的に整備しており、その取り組みは長崎県内においても先進的な事例として評価できる。
同市では、SDGsの達成に向け、以下の組織・制度を設け、行政全体としての推進力を高めている。
対馬市SDGs推進本部
対馬市SDGsアドバイザリーボード
対馬市SDGs推進員
対馬市SDGs戦略課
対馬市SDGs総合研究所
これらが相互に連携することで、政策立案から実行、評価、改善に至るまで、SDGsを軸とした行政運営が図られている。
部局横断の要となる「対馬市SDGs推進員」
なかでも今回注目したいのが、「対馬市SDGs推進員」の存在である。
対馬市SDGs推進員は、SDGsの達成に向けた取組を実効性あるものとするため、部局横断的な連携の促進と、市民・団体・企業等との協働の中心的役割を担うことを目的として設置されており、単なる担当者配置にとどまらず、行政内部と地域社会を結びつける“ハブ”としての役割が明確に位置付けられている点が特徴だ。
対馬市SDGs推進員の職務は多岐にわたり、SDGsを行政運営の中に定着させるための実務を幅広く担っており、主な職務は次のとおりである。
・対馬市SDGsアクションプランに基づき、部局横断的な連携が必要となる事業の推進に関すること
・各部局が関係する市民・団体・企業等へのSDGs関連情報の提供およびパートナーシップ形成に関すること
・各部局におけるSDGsアクションの推進および進捗管理に関すること
・SDGsに関する情報の収集と、職員への周知・共有に関すること
・その他、SDGsの達成に向けて必要と認められる事項に関すること
これらの業務からも分かるように、SDGs推進員は「調整役」「情報共有役」「推進役」という複数の役割を兼ね備えており、SDGsを理念にとどめず、具体的な行動へと落とし込むための重要な存在となっている。
SDGsを掲げる自治体は全国に数多く存在するが、対馬市の特徴は、組織・人材・研究機関を含めた立体的な推進体制を構築している点にある。とりわけSDGs推進員の設置は、行政内部の縦割りを超え、市民や地域団体、企業との協働を現実のものとするための実践的な仕組みといえる。
SDGsを「看板」に終わらせず、「行政の実装」として根付かせる対馬市の取り組みは、今後、他自治体にとっても参考となるモデルケースの一つとなりそうだ。
※詳しくは「対馬市:対馬市のSDGs」をご覧ください
発行:長崎通信社
